
卵には筋肉や骨など、身体を作るのに必要な「タンパク質」が豊富に含まれている食材として知られています。
また、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいるので、栄養のバランスもよく離乳食のオススメ。
しかし卵は、3大アレルゲンの中でも最も症状が出やすいと言われているので、初めて食べさせる時は少し心配になってしまいませんか?
私は、小児科の看護師をしていますが、育児支援では離乳食とアレルギーの相談は度々あります。
上のお子さんがアレルギーがなかったからと言って、下のお子さんがアレルギーはないだろうとは言えないからですね。
ここでは、離乳食初期の卵の始め方と進め方、卵を使った離乳食の簡単レシピなどを紹介していきます。
また、後半に離乳食で卵を取り入れる時のアレルギーに対する注意点と対応方法についてもお伝えしていきますね。

子どもの観察はセットね!
生後7か月になり、ペースト状のものをゴックンすることに慣れたら、いよいよ口をモグモグ動かす練習が始まります。 でも・・・ 「舌で押しつぶせる固さって?」 「どれくらいの大きさは?」 「どれくらいの量を与えるの?」 「献立 …
離乳食卵のすすめ方の時期と量
離乳食の卵はいつから初めて、量はどれくらいから始めるのでしょうか?
ここでは、鶏の卵の始め方と量について説明していきますね。
はじめてのお子さんに限らず、離乳食の卵を始る時には慎重になりますが、知識を得ておけば安心ですね。
離乳食卵はいつから始めるの?生後6ヶ月からOK
離乳食の卵は一般的には、7ヶ月頃からはじめている方が多いようですが、生後6ヶ月の初期から始められます。
離乳食の卵の開始時期について、国立成育医療研究センターアレルギー科の大矢幸弘医長と、同研究グループ、徳島大学らのグループによっての研究が発表されています。
研究報告によれば、生後6ヶ月より固ゆで卵を少量ずつ摂取させることにより、子どもの食物アレルギーの中で最も頻度の高い鶏卵アレルギーを8割予防できることを実証されています。
(この研究成果は世界最高峰の臨床医学雑誌の一つであるランセット(The Lancet)より発表されました。)
→国立研修開発法人/国立成育医療研究センター/
離乳食早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見
また、2019年3月に厚生労働省は2007年に作成された「授乳・離乳の支援ガイド」を12年ぶりに改訂されました。
それによると、食物アレルギーの対応では、鶏卵等の食物アレルギーの原因となりうる食品でも、離乳食の開始時期を離乳初期の5~6ヵ月頃から始めるよう情報提供すると明記さています。
→厚生労働省/授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)の公表ページ
アレルギーが心配だからと言って、離乳食開始時期を遅らせる必要はなく、極少量から食べさせることができます。
また、両親にアレルギーがあったり、既に食物アレルギーがある乳児は、医師と相談して進めていきましょう。
アレルギー反応は、摂取後 30分から数時間で発生する「即時型」と、24 時間から48時間後に突然発生する「遅延型」の反応があります。
卵を食べさせたら最低3日間は、アレルギーの反応があるのかを見ていてくださいね。
アレルギーの型 | 症状が現れる時間 |
---|---|
即時型 | 食べてから30分後~数時間 |
遅延型 | 食べてから24時間~48時間 |
アレルギー症状がでたからと言って、むやみに怖がる必要はありません。
対応方法を知っていれば大丈夫です!
アレルギー反応や対応方法、アレルギーの食品についてはあとの章で紹介していますので参照してくださいね。
POINT
- 卵は生後6ヶ月から食べさせることが出来る。
- アレルギーが心配な乳児は医師と相談しながら進めましょう。
|
離乳食卵の与え方と量は?中火で20分間ゆでた卵の黄身から
離乳食初期では、中火で20分加熱しし芯まで熱が通った固ゆで卵から使います。
加熱温度が高く、時間が長いほど、アレルゲンは消失しやすくなりますので、半熟卵は絶対に避けてくださいね。
加熱が不十分だと、アレルギーを起こしやすいのです。
大切なのは、賞味期限内の新鮮な卵を使用して、しっかり加熱した固ゆで卵を使うことです。
また、卵に限らずどんな食材も初めて与えるときには、極少量からはじめます。
卵と一緒に調理しやすい玉ねぎは、しっかり下ごしらえして使うといいので関連記事を紹介しますね。
→関連記事:
はじめての玉ねぎ離乳食初期レシピまとめ!いつからはじめるの?アレルギーの心配は?
そして初めての食材を与えるときには、必ず平日の午前中に食べさせてください。
万が一 アレルギーの症状が出たときに、病院の診療時間内であるようにするためです。
繰り返しになりますが、アレルギー反応は、摂取後30 分から数時間で発生する即時型と、24 時間~48 時間後に突然発生する遅延型があります。
食べたら、最低3日間は、アレルギーの症状はないか様子を見ていてくださいね。
午後以降に初めての食材をあたえると、アレルギー反応を起こしやすくなります。
体調がよく、しっかり睡眠も取れた機嫌の良い日に挑戦していきましょう
中火で20分間加熱した固ゆで卵を与えるには3段階のステップになっています。
↓
卵の進め方の3ステップ
- 中火で20分以上加熱して固ゆでしたゆで卵の卵黄から始める。
- ①が慣れたら、中火で20分以上かけて固ゆでした、ゆで卵の卵白を始める。
- ②が慣れたら、中火で20分以上加熱した全卵を始める。
上記のように、卵黄から始め白身から全卵へとステップを踏んで進めていきましょう。
離乳食初期の卵の与え方POINT
「食べられたから」と一気に増量すると、胃腸に負担をかけてしまいます。
それぞれ1~2ヶ月かけて、ゆっくり増やしていきましょう。
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初めて与える時は中火で20分加熱した固ゆで卵の黄身を与える:生後6ヶ月~7ヶ月
黄身を初めて与えるのは、生後6ヶ月~7ヶ月からです。
そして、中火で20分加熱し固ゆでした黄身の中央部分から与えて
くださいね。
20分加熱とはとても面倒くさいと思います。
ですが、加熱温度が高く、時間が長いほど、アレルゲンは消失しやすくなるのです。
黄身の形状はペーストです。
↓
黄身の与え方:
- 卵を中火で20分間ゆでてしっかりと火を通す。
- 卵取り出したら素早く黄身と白身を分ける。
- なるべく白身に触れていない内側中央の部分から、耳かき一杯程度の黄身から始める。
- アレルギー反応が出なければ、2~3日おきに、少しずつ増やしていきましょう。
卵がゆであがったら、時間をおかず、卵を冷水で冷やし、黄身の中央部分だけを取り出して与えましょう。
ゆで卵にしてから卵の殻を剥がさずに放置して時間を置きすぎると、アレルゲンが卵白から黄身に移行してしまいます。
なので、黄身と卵白はすばやく分けてくださいね。
例:黄身の2~3日おきに与える目安
耳かき1杯
↓
耳かき2杯
↓
耳かき3杯
↓
小さじ1/4
↓
小さじ1/3
↓
小さじ1/2
↓
小さじ1杯
↓
小さじ2杯
初期には、黄身を食べさせる量がすくないので、固ゆでしたゆで卵を製氷皿へ小分けして冷凍しておくと便利ですね。
↓
卵黄に慣れてきても、与える量は、最大で1日1個までにしましょう。
卵白:黄身に慣れてきた生後9~11ヶ月後
卵のアレルゲンのほとんどが 、卵白に多く含まれています。
黄身に慣れてきた生後9~11ヶ月からはじめましょう。
固ゆでした卵の黄身と卵白の形状は5mmくらいに刻みます。
↓
卵白の与え方:
- 中火で20分以上加熱し固ゆでした「卵白」を食べさせる。
- 初めての卵白を与える時は、卵白にチョンと触れたスプーンを1回なめてみただけにしましょう。
- アレルギー反応が出なければ、2~3 日おきに 少しずつ増やしていきましょう
アレルゲンの残存率は、加熱時間、加熱温度に比例するので十分加熱をして、少しでも発症リスクを下げましょう!
例:卵白の2~3日おきに与える目安
卵白にチョンと触れたsyぷーんを1回なめる。
↓
卵白にチョンと触れたスプーンを2回なめる。
↓
卵白にチョンと触れたスプーンを3回なめる。
↓
耳かき1/3量
↓
耳かき1/2量
↓
耳かき1杯
↓
小さじ1/4
↓
小さじ1/3
↓
小さじ1/2
↓
小さじ1杯
↓
小さじ2杯
アレルギー反応がないからと、続けて沢山食べさせると胃腸に負担をかけてアレルギーを誘発させる恐れがあります。
焦りは禁物です!
1度食べたら必ず 2~3 日あけて食べさせていきましょうね。
全卵:卵白にも慣れた1~1才半頃から
全卵は、中火で20分以上加熱し固ゆでした卵白になれた1~1才半頃からはじめます。
全卵の形状は1cmくらい刻んだ形状です。
↓
- 中火で20分加熱し固ゆでした全卵1/2個で試してみましょう。
- 電子レンジ加熱の全卵いり卵1/2個の調理もOK
- 最初は耳かき一杯程度から与えましょう。
全卵1/2個のいり卵なら、500W・約30秒でとり出してかきまぜます。
その後10秒刻みで加熱してはかきまぜ、約50秒で完成するのが目安になります。
2歳頃までに全卵 2/3 個の摂取 を目安に、進めていきましょう
「全卵が食べられるようになった 」と、卵ばかり与えないようにしてくださいね。
肉や魚、豆腐などのタンパク源とあわせて、ゆっくり進めていきましょう。
全卵は、1日1/2個までにします。
(この頃になると、オムレツやキッシュ、茶碗蒸しなどの卵料理が食べられるようになります。)
最低でも、3歳になるまでは生卵や半熟卵は、与えないようにしましょう!
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生後6~8ヶ月の離乳食卵をつかったレシピ6選・冷凍保存方法
ここでは、生後7~8ヶ月たった離乳食卵を使ったレシピを紹介していきますね。
固ゆでした卵黄は、ラップへ取り出して揉んだり、茶こしで裏ごししてジップロックで冷凍保存すると便利なので紹介しますね。
かたゆで卵黄の中心を取り出してからラップに包んでほぐすと散らばらずに調理できます。
↓
茶こしで裏ごしすると、こまかく均一な粉末状になります
↓
↓
茶こしで裏ごしした黄身はジップロックへ入れて冷凍保存しておくと便利です。
大人用の料理の彩りにも使えますよ。
ジップロックへ直接マジックで日付を書かないように、付箋かマーキングテープで日付を付けるといいですね。
マジックは透過性があるので、ジップロックへ直接記入しないようにしましょう。
↓
関連記事:
離乳食初期のはじめての玉ねぎを使うときには、こちらを参照してくださいね。
↓
はじめての玉ねぎ離乳食初期レシピまとめ!いつからはじめるの?アレルギーの心配は?
離乳食中期の卵焼きレシピはこちらを参照してくださいね。
↓
離乳食中期の冷凍保存できるレシピ10選!卵焼きや納豆など作り置き方法も紹介
楽天で、離乳食調理7点セット(1セット)・お食事グッズお食事ベビー食器が販売されており、便利ですね。
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卵の黄身ペースト
材料:
- 固ゆでした卵の黄身 小さじ 1/2
- お湯 小さじ1
作り方:
①たまごを水から20分ゆで、しっかり固ゆで卵にします。
②ゆで上がったら冷水(氷水)で冷やします。
この温度差で綺麗に殻が剥きやすくなりますよ。
③切って固ゆで卵になっていることを確認します。
④一番最初は耳かきくらいから与えましょう。
こちらは、加熱不十分なゆで卵です。
加熱が不十分だと、黄身の中心部分の色が濃くなっています。
↓
卵の黄身としらすのペースト
材料:
- 塩抜きした しらす 成長に合わせ適量
- 固ゆでした黄身 成長に合わせ適量
- お湯 適量
作り方:
①塩抜きしたしらすとたまごを和えて、お湯でペースト状にして出来上がり。
しらすはカルシウムが多いのでいいですね。
たまごのお粥
材料:
- お粥 大さじ4
- 卵黄 大さじ1
- 和風だし(赤ちゃん用) 小さじ1
- お好みで青のり 少々
作り方:
①卵を卵黄と卵白に分け、卵黄のみをお粥に加える。
②和風だしを加えてよく混ぜる。
③中火でしっかり火を通す。
電子レンジの場合、500Wで30秒加熱して一旦取り出してかき混ぜる。
再度、500wで20秒加熱します。
④お好みで青のりをかけて出来上がり。
私は他にも細かく刻んだブロッコリーや、すりおろした人参を加えて、野菜も取れるようにしています。
こちらの動画では、卵と野菜をつかったお粥の作り方がわかりやすく説明されています。
↓
こちらのツイッターでは、市販の米粉でつくるお粥に20分固茹でした黄身を混ぜるやり方を紹介していました。
↓
月齢6ヶ月初期のトロトロ時期の卵慣れ、このやり方が最適解かも。
1️⃣新鮮な卵を20分固茹で
2️⃣黄味の真ん中を少量
(写真はかなり多い量)
3️⃣市販の米粉で作るおかゆに混ぜる
(双方ドライな状態がベスト)
4️⃣🥄の背で念入りに潰し混ぜる参考→ほむほむ先生@ped_allergy #離乳食 #tm008離乳食ログ pic.twitter.com/FXn9o2Ux3c
— 三つ子母🔱008🔫 (@TripletsMom008) February 21, 2019
作り方:
卵の黄身・ブロッコリー粥
作ったあとは、製氷皿で冷凍して保存できて便利ですね。
材料:
- ご飯 適量
- 水 適量
- 卵の黄身 1/3
- ブロッコリー 適量
- ゆでたじゃがいも 少量 (大人用に作ってあったもの。)
作り方:
①材料をすべていれて水を鍋で煮てハンドブレンダーでペースト状にすれば出来上がり。
卵黄たまごプリン
お兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒に食べれます♪
牛乳を使っていますが、牛乳アレルギーが心配であれば、調整ミルクを溶いて代用してもいいですね。
材料:
- 卵黄 卵1個分
- 牛乳または豆乳 40cc
- 裏ごしかぼちゃ 大さじ1
作り方:
①裏ごししたかぼちゃと、牛乳を合わせてなめらかにしておく。
②溶きほぐした卵黄に①を加え、泡立てないように優しく混ぜる。
③②を器に注ぎ小鍋に並べ、容器の半分くらいの水を張り蓋をして中火で加熱する。
蓋の下にに布巾やキチンペーパーを被せると、水滴がプリンにかかりらなくていいですよ。
↓
④水が沸騰してきたら弱火にして7分程加熱する。
その場合は早めに作り、粗熱を取っておきましょうね。
[kanren postid=”1127″]卵黄ほうれん草スープ
材料:
- ほうれん草の葉先 1枚
- 固ゆで卵の黄身 1/4個
- お湯か、赤ちゃん用の和風だし 大さじ1
作り方:
①ほうれん草の葉先は、やわらかく茹でて、水にさらしてから、ざっくり刻む。
②ほうれん草をすり鉢に入れ、よくすりつぶす。
③ほうれん草に卵の黄身を加えて、さらにすり潰し、お湯か赤ちゃん用の和風だしを加えてできあがり。
玉子うどん
うどんを2mmくらいに刻んで茹でるといいです。
小麦粉アレルギーのあるお子さまには不向きです。
材料:
- うどん 2本程
- 固ゆでした卵の黄身 1/4個
- 和風だし 大さじ3
- 花かつお 1つまみ
- 熱湯 10ml
作り方:
①うどんは2mmくらいに短く切ってくたくたになるまでゆでて、うどんを煮た残り湯を少し入れてと一緒にうどんをすり鉢でする。
↓
うどんを煮た残り湯を少し入れてすり鉢ですったほうが、うどんだけでするよりも飛び散りませんよ。
↓
②コップに花かつおを入れ、熱湯を注ぎ2~3分置く。
③小鍋に①と②と卵の黄身を入れ混ぜあわせる。
④全体に交じったらだしを少しずつ加えながら混ぜ合わせる。
⑤弱火でかき混ぜて煮れば完成。
白身魚の黄身あんかけ
白身魚はパサパサしていて苦手な赤ちゃんも多いですが、あんかけにすることで飲み込みやすくなりますよ。
白身魚の代わりに豆腐にしてもいいですね。
材料:
- 白身魚 小さじ1
- ゆで卵の黄身 小さじ1
- ベビーフードとろみ粉 適量
- お湯 大さじ1
作り方:
①白身魚は茹でて食べやすい大きさにほぐす。
②ゆで卵の黄身を茶こしでこす。
③②にお湯を入れてとろみ粉を混ぜながら加え、とろみをつける。
④①に③をかける。
離乳食卵レシピの冷凍保存方法
インスタグラムで、卵の黄身を少しづつ小分けして与えていけるように卵黄を冷凍する方法が紹介されていました。
↓
固ゆでした黄身は、冷凍できます。
お粥とまぜた黄身も、製氷皿へいれてラップをして冷凍して作り置きするといいですよ。
ゆで卵の白身は冷凍すると食感が固くなってしまうので、冷凍はしないようにしましょう。
どうしても冷凍したい場合は生のまま冷凍し、調理するときにはしっかりと火を通して使いましょう。
POINT
- 加熱した卵は冷凍保存が出来る。
- ゆで卵の白身は冷凍すると固くなってしまうので注意。
- ジップロックや製氷皿などを使って小分けに保存しておくと、調理しやすくなる。
離乳食初期のフリージング(冷凍保存)のやり方について、サランラップでお粥を保存する方法や、ジップロックでペーストを保存する際に、さい箸で区切りをつける方法についてなど、こちらの動画をご覧くださいね。
↓
離乳食のアレルギーまとめ
離乳食を与えるときには、アレルギーについて念頭においておく必要があります。
アレルギーの予備知識があることで、冷静な対応ができるようになりますよ。
ここでは、アレルギーの対応方法や情報をお伝えしますね。
もしかしてアレルギーかも?すぐにかかりつけ医へ電話して受診をしましょう。
湿疹やアレルギー性皮膚炎など皮膚の炎症があるときには、食物アレルギーになりやすいことがわかって来ました。
湿疹をなるべく早く治療し、皮膚状態をきれいにして離乳食を始めるのがよい、と推奨されています。
詳しい説明は、下記の参考サイトでわかりやすく紹介されていますので、ご覧くださいね。
参考サイト:
こちらは、明治の食育のサイトで、わかりやすく説明されていますよ。
監修は、国立病院機構相模原病院副臨床研究センター長 アレルギー性疾患研究部長 海老澤 元宏先生。
学校法人ソニー学園湘北短期大学 生活プロデュース学科 講師 管理栄養士 林 典子先生。(元国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)
↓
明治の食育


以下のような心配があれば、お近くの病院やかかりつけ医、クリニックなどで相談してみましょうね。
- この症状はアレルギーなのかしら?
- 病院でアレルギーの検査はどんなものなの?
- アレルギーが陽性だったけど、他の項目は大丈夫なのかな?
食物を食べたときに、アレルギーの原因物質ではないのに、あたかも食物アレルギーのような症状を起こすことがあります。
その原因として考えられるものに仮性アレルゲンがあります。
仮性アレルゲンの場合は、アナフィラキシーのような重い症状を起こすことはまれです。
仮性アレルゲンが多く含まれている食品について以下にあげました。
- あくの強い野菜: トマト・なす・ほうれん草
- 果物: バナナ
- ヤマイモ・たけのこ
- 肉と魚の鮮度のおちたもの: 肉の赤みが変色しているもの・さんまの開き・冷蔵のタラなど。
対策として以下の方法があげられます。
- 一度にたくさん食べさせない
- 体調が割るときは食べさせない
- アク抜きや湯通しをする。
- 加熱料理をする。
- 新鮮な食材を選ぶ。
ヤマイモアレルギーの場合には、調理方法に関係なくおこるので、食べさせないようにしましょう。
仮性アレルゲンについての詳しい情報は、「徳島県医師会/小児の食物アレルギー」をご覧くださいね。
↓
徳島県医師会/小児の食物アレルギー
こちらも仮性アレルゲンの詳しい説明がされている「小児科・アレルギー科 さもり小児科」のサイトですので、ご覧くださいね。
↓
小児科・アレルギー科 さもり小児科/仮性アレルゲンの話
アレルギーの原因を調べるための検査はどのようなものがあるのかは「国立研究開発法人/国立成育医療研究センター」のサイトをご覧ください。
↓
国立研究開発法人/国立成育医療研究センター/食物アレルギー
乳児期に起こしやすいアレルギーの症状と関連するアレルギー疾患についての予備知識と、食物アレルギー発症の気づきのポイントについて、「独立行政法人/環境再生保全機構 年齢にみたアレルギーの特徴:乳児期(0~2歳)」のサイトをご覧ください。
↓
独立行政法人/環境再生保全機構 年齢別にみたアレルギーの特徴:乳児期(0~2歳)
※独立行政法人とは、各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを独立の法人格が与えられた機関に担当させ、業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を図ることを目的とする制度です。
食品表示で義務付けられている食材 27品目について
現在、食品表示法で表示する事を定められているアレルギーは下記の2項目には、玉ねぎは含まれていません。
ですが、アレルギーはその時々の世情を踏まえて改訂されています。
将来的にも増えていく事も考えられますので、アレルギーについての情報はこれからも注意していく必要がありますね。
消費者庁による、食品表示についての概要、アレルゲンを含む食品表示の経緯についての説明は、こちらをご覧くださいね。
↓
消費者庁/食品表示について
ただ、アレルギーに対してむやみに怖がる必要はありません。
アレルギーの症状が出たときに、かかりつけ医や病院を受診するのか、スグに救急車(119)へ電話をするのかと対応方法を知っていれば、大丈夫です。
アレルギーの表示の目的は、食品衛生法関連法令によって、製造・加工・輸入された加工食品にたいして、アレルギー物質に関する情報することにより、アレルギー症状を起こすことを防ぐためです。
すでに、アレルギーの食材がわかっていれば、表示を見て購入する必要があります。
現在、アレルギーの症状を経験していない赤ちゃんでも、もしかしたらアレルギー症状発症もあるかもしれないと、頭の隅においておくことも大切ですね。
かと言って、「アレルギーの可能性があるから、製造・加工・輸入された加工食品は絶対に口にしない!」と避けなくても大丈夫です。
アレルギーの表示についての詳しい説明と、表示を見るときに注意することに関しては、「厚生労働省/食物アレルギー表示とは?(PDF)」をご覧くださいね。
↓
厚生労働省/食物アレルギー表示とは? PDF
消費者庁の食品表示が義務つけられているのは、現在以下の27品目です。
表示を義務化する特定原材料 7品目
(特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性が高い。)
卵・乳・小麦・落花生・えび・そば・かに
通知で表示を奨励する特定原材料に準ずるもの 20品目
(症例数や重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数みられるが、特定原材料に比べると少ない。
特定原材料とするかどうかについて、今後、引き続き調査が必要なもの。)
いくら・キウイフルーツ・くるみ・大豆・バナナ・やまいも
カシューナッツ・もも・ごま・さば・さけ・いか・鶏肉
りんご・まつたけ・あわび・オレンジ・牛肉・ゼラチン・豚肉
※ 米やアーモンド等、現在のところは表示対象とはなっていない原因物質もあります。
アレルギーの症状がでたらすぐに受診をしましょう
以下の1つでも当てはまればすぐに病院へ電話を入れて受診しましょう。
・喉のイガイガ
・肌荒れ
・口まわりの腫れ
・吐き気
・下痢
・軽いせきが出る
・1~2回の嘔吐
・1~2回の下痢
・顔全体が腫れる
・まぶたが腫れる
・じんましんが全身に広がる
・全身が真っ赤になる
以下の1つでも当てはまれば救急車(電話 119番)を呼びましょう。
・意識がもうろうとしている。
・ぐったりしている。
・唇やつめが青白い。
・呼吸が苦しそう。
・声が急にかすれている。
・ヒューヒューとした呼吸の音がしている。
・強いせきが続く
・急に激しく泣く
・下痢や嘔吐を繰り返している。
国立成育医療研究センターアレルギー科の大矢幸弘医長と、同研究グループ、徳島大学らのグループによって
生後6ヶ月より固ゆで卵を少量ずつ摂取させることにより、子どもの食物アレルギーの中で最も頻度の高い鶏卵アレルギーを8割予防できることを実証しました。
(この研究成果は世界最高峰の臨床医学雑誌の一つであるランセット(The Lancet)より発表されました。)
また、すでに鶏卵アレルギーと診断されている乳児の鶏卵摂取をどうするか、予防を目的とした実際の鶏卵摂取については、専門医の指導を仰いでくださいね。
卵の加熱が不十分だと抗原性が高くなり危険です。
自分で調整することは危険なので、必ずアレルギー専門医に相談してくださいね。
国立研修開発法人/国立成育医療研究センター/
離乳食早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見
食物アレルギーはいつまで続くの?


鶏卵、乳製品、小麦の3大食物アレルギーは、3歳くらいで約50%、6歳くらいで80%のお子さんが食べられるようになります。
おそらく赤ちゃんのうちは腸の消化や吸収が未熟なので、腸が成熟すると免疫システムも改善してくるからと考えられています。
食べられるようになったかどうかの判断は、6ヶ月から1年ごとに定期的に特異的IgE抗体検査を行って、その結果を参考にして食物負荷試験を行って医師と相談しながら進めていくのです。
こちらは、神奈川県立こども医療センターによる、よくわかる食物アレルギーのPDFです。
食物アレルギーについて、症状や治療方法や経口免疫寛容という、偏らず幅広く幅広く食べることで、アレルギー反応を抑制することなど、詳しく説明がされています。
↓
神奈川県立こども医療センター/よくわかる食物アレルギー
おわりに
卵はアレルギーが心配ですが、食べられるようになると料理の幅も広がります。
また、お父さんお母さんと似たような料理を食べられるようになるので、赤ちゃんも喜んでくれます。
月齢に合った量を守り、無理なく与えていきましょうね。
生後7か月になり、ペースト状のものをゴックンすることに慣れたら、いよいよ口をモグモグ動かす練習が始まります。 でも・・・ 「舌で押しつぶせる固さって?」 「どれくらいの大きさは?」 「どれくらいの量を与えるの?」 「献立 …
下記に、離乳食に関するトピックとして、2019年3月に改定された厚生労働省の「授乳・離乳 支援ガイド」についての説明をしています。
離乳 に関するトピック
2019年改定 厚生労働省の授乳・離乳 支援ガイドについて
少子化に伴い、ママやパパにとっては初めての離乳食で緊張や不安もあることでしょう。
子育ては、地域での病院施設、保健所、市町村の保健センターで支援の取り組みをしています。
そして、2019年3月に厚生労働省は2007年に作成された「授乳・離乳の支援ガイド」を12年ぶりに改訂されました。
↓
厚生労働省/授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)の公表ページ
食物アレルギーの対応では、鶏卵等の食物アレルギーの原因となりうる食品でも、離乳食の開始時期を離乳初期の5~6ヵ月頃から始めるよう情報提供すると明記さています。
近年では、授乳や離乳に関して、子育てのママやパパは、医療機関や行政の母子保健事業のみではなく、育児雑誌やインターネットで情報を得る機会が増えてきました。
実際の育児は、それらの得た情報をもとにすべて対応できるものではありません。
保健医療従事者が、子育てのママやパパの気持ちを受け止めて、身近な相談窓口として寄り添っていけるような支援をしていくように述べられています。
授乳・離乳支援にあたり産科施設や小児科施設、保健所、市町村保健センター、保健所などで医師、助産師など看護職、管理栄養士など様々なスタッフが関わっています。
小さな、疑問や心配事をママやパパが抱え込まずに、安心して相談できるようになっていますね。
また、災害時の授乳と離乳に関する支援や授乳のリズムの確立についての支援のあり方も含めて、以下のサイトで詳しく説明されていますのでご覧くださいね。
こちらでは、厚生労働省/授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)のサイトを紹介します。
授乳・離乳支援ガイドは基本的事項を共有化し、支援を進めていくことができるよう、保健医療従事者向けに平成19年3月に作成され、自治体や医療機関等で活用されてきました。
今般、本ガイドの策定から約10年が経過したため、昨年の11月から「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会(座長:五十嵐隆 国立成育医療研究センター理事長)を開催し、最新の知見や授乳・離乳を取り巻く社会環境等の変化を踏まえ、研究会において本ガイドが改定されました。
以下の3つのサイトは、厚生労働省による「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)の概要 PDF」で、科施設や小児科施設、保健所、市町村保健センター、保健所などで医師、助産師など看護職、管理栄養士がこのガイドを元に活動をする支援の基本事項や概要の説明をしています。
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厚生労働省/授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)の概要 PDF