台風被害の千葉県【要支援者名簿】活用できない理由は?防災対策に行政と地域の取り組みに必要な事は?

千葉上空

内閣府では、災害時に自力での避難が難しい高齢者や障害者などについて迅速な安否確認のため「要支援者」として名簿にまとめることを自治体に義務づけています。
ですが、台風15号で住宅の被害が多かった千葉県の自治体の間では名簿が作成されていても実際に活用する準備が整っていないなどの理由で、実際には活用されなかった地域もあるようです。

東日本大震災を受けて高齢者や障害者などを事前に「要支援者」として名簿にまとめることが自治体に義務づけられ、災害の際には地域の団体などと連携して安否確認に活用することになっています。
要支援者名簿は、自治体ごとにまとめるように義務付けられており、災害の際には地域の団体などと連携して安否確認に活用することになっています。
東日本大震災からの実態を受けて高齢者や障害者などを対象に名簿作成が行われています。
総務省消防庁の調査によれば、去年6月現在、要支援者の名簿を作成している自治体は全国で97%となっており、多くの自治体では作成が終わっているとの報告がされています。

ここでは

  • 要支援者名簿が何故活用できていなかったのか?
  • 防災対策で行政と地域で取り組む必要なことは何か?

NHK NEWS WEBと、内閣府の防災ガイドラインや赤十字社支援者のガイドラインのなどの情報から考えてみたいと思います。

こちらは、NHK NEWS WEBで、台風15号被害の千葉県 「要支援者」名簿の活用に地域差(2019年10月3日 12時48分)が報じられています。
NHK NEWS WEB/台風15号被害の千葉県 「要支援者」名簿の活用に地域差/2019年10月3日 12時48分

こちらは内閣府の防災情報のサイトです。

災害要支援者の避難支援ガイドラインや災害時要援護者情報をどう収集・管理するかについて説明されています。
参考サイト:
内閣府/防災情報のページ

災害時要支援者の避難支援ガイドライン

国土交通省国土政策局国土情報課/災害時要援護者情報をどう収集・管理するか





要支援者名簿が活用できていなかった理由

  1. 名簿は作成していたが、準備が間に合わず使わなかった
  2. 事前に同意の確認がとれていなかった
  3. 名簿の活用の仕方に統一性がない
  4. 確認にあたる人手の確保が難しかった

NHKでは、台風で住宅の被害が多かった県南部などの10の自治体に取材がされました。
南房総市や君津市などは名簿を基に安否の確認を行っていましたが
鴨川市や匝瑳市、鋸南町では名簿は作成していましたが、準備が間に合わず使いませんでした。
また、少なくとも6つの自治体では電話がつながらないうえ、確認にあたる人手の確保が難しく、安否確認を終えるまでおよそ2週間かかったことも分かったそうです。
災害時には本人の同意の有無にかかわらず名簿の情報を民生委員などに提供できることになっていますが「事前に同意の確認がとれていなかった」などの理由で活用を見送ったということです。

いずれの自治体も「安否確認は職員らが行い問題はなかった」としていますが、今後は、名簿の活用法や地域での連携について検討を進めたいとしています。
そもそも、内閣府は安否確認の方法やどういったレベルの災害で名簿を活用するのかなど具体的な計画の内容は自治体ごとに任せているため活用の仕方に差が出ている現状があります。

実際に災害にあってみると、色んな問題が浮上してきます。

  • 自治体の細分化された部署との連携が取りづらい
  • 災害案件に対し責任の所在がつかめない
  • 自治体の職員が被災者となっている
  • そもそも民生員が高齢者で動きが取りづらいこともある
  • 被災者支援の優先順位に混乱をきたす(経済・生活支援)

などなど・・

参考サイト:
下記のPDFは、平成23年度4月1日現在の市区町村における災害時要援護者の避難支援対策の取組状況(全体計画、災害時要援護者名簿、個別計画の策定状況)を調査した結果です。
市町村別/災害時要援護者の避難支援対策の調査結果



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行政と地域の取り組みに必要な事

  • 医療機関との連携と情報共有
  • 実際に被災者の声を自治体へ届ける地域・声を拾う自治体
  • 要支援者の特徴を知って、支援のあり方を理解する
  • NGOやボランティアの力を借りる
  • 地域住民の助け合い
医療用具

名簿を活用していた自治体の中でも時間がかかったり、名簿に名前が載っていなかったりして、安否確認にふだん在宅患者を支える民間の診療所が役割を果たしたケースもあったそうです。
君津市の診療所では、9日午前中からふだん訪問診療をしている在宅患者の安否確認に追われました。
医師や看護師などおよそ10人が手分けをして140人の自宅を1軒1軒回りました。

しかし、停電で信号がついていなかったり倒木で道が通れなかったりしてなかなかたどりつけませんでした。

大野さんの姉の千枝子さん(78)は「看護師さんの顔を見たときは本当に安心しました」と話していました。

君津市では名簿を活用した安否確認を行っていましたが、みずから希望しないと名簿に名前が載らない仕組みです。

大野さんは制度を全く知らず、診療所とつながっていなければ支援の手が届かなかったおそれもありました。

道路遮断

大島、新島の議員の皆さんと台風15号被災支援について政府レクをされたツイート。
被災者の切実な声を拾って支援に結びつける取り組みですね。

NHKの報道によると
災害弱者の支援に詳しい日本大学危機管理学部の鈴木秀洋准教授は

名簿を作成するだけでは意味が無く、災害時に支援が可能なのか、足りない部分も含めて明らかにしておく必要がある。
関係機関と情報を共有しふだんから備えないと実効性のある対策はとれない、と話していたそうです。

と話されていたそうです。
確かに、「災害時に支援が可能なのか、足りない部分も含めて明らかにしておく必要がある。」これは一般論でもありますね。

【このアイデアはグッド!厚真町で自衛隊が導入の入浴支援と医療相談支援のコラボ】のツイート。
被災現場で臨機応変にアイディアを実行へ移して成功した事例ですね!

こちらは、NGOピースウィンズジャパンの活動のツイートです。
NGOやボランティアの支援は必須ですね。

要支援者が抱える災害時の支障

日本赤十字社の災害時要援護者対策ガイドラインの中では
「要援護者(要支援者)が抱える災害時の支障があげられています。

情報支障:

情報を受けたり伝えたりすることが困難である
・情報を理解したり、判断することが不可能だったり、理解するまでに長時間を要
する
・通常の緊急情報伝達手段だけでは、一般の人への情報伝達漏れが生じやすく、特
に視覚・聴覚障害をもつ人への情報伝達漏れが生じ(緊急情報、災害後の生活情
報とも)、緊急時の情報入手がむずかしい  
・外国語による情報伝達がなされないため、情報伝達漏れが生じたり、避難指示情
報等が理解されにくい
・外国人、旅行者・観光客等は、その地域特有の災害の知識が不十分な傾向がある
上、避難路や避難場所を知らないことが多い

危機回避行動支障:

・瞬発力に欠けるため危険回避が遅れ、倒れた家具などから身を守れない
・風水害時の強風や濁流等に抗することができず、死傷しやすい
・危険回避しようとあわてて行動することで、逆に死傷してしまう

移動行動支障:

・体力不足などによる避難の遅れが生じる
・移動が困難なため、被災により日常の移動行動に支障が生じる
・自宅の被害により、自宅内での行動に支障が生じる
・独自の補助具などが入手しにくいことによる移動支障が生じる
・被災した道路の段差、冠水などによる移動の支障が生じる
・バリアフリー建物等が被災することによる移動支障が生じる

生活行動支障:

・薬や医療用具・機器がないと生命・生活の維持がむずかしい
・自宅や周囲が被災することにより、日常生活に支障が生じる
・避難所がバリアフリー化されておらず、生活行動に支障がある人が必要とする手
すりや洋式トイレがないなどの避難所が多い。また、市区町村などの福祉避難所
の準備・整備が不十分なこともあり、環境の整った施設等が不十分

適応支障:

・心理的動揺が激しいこともあり、適切な危険回避行動をとりにくい
・精神的障害による不安定な状態が被災により増幅される
・日常生活の変化への適応力が不足しており、回復が遅い
・感染症等への抵抗力が弱く、避難所で病気にかかることが多い
〔一般の人〕
・避難所の構造、支援体制不足、避難者の不理解などのため、障害をもつ人が共同
生活をすることがむずかしい
・文化的不理解などから、外国人は避難所での共同生活がむずかしいことがある

住宅構造支障・経済支障:

・住宅構造上の問題(非耐震化、家具等の転倒防止策が不十分)により、地震時の
死傷者が多い
・広報・相談・カウンセリングが不十分なための救援の遅れが生じる
・経済支障による復旧・復興への支障が生じる

参考サイト:
日本赤十字社の災害時要援護者対策ガイドライン



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各自治体の要支援名簿登録告知文

Google検索窓に「要支援名簿」と入力すると、各自治体で行っている「避難行動要支援者名簿登録について」のサイトのタイトルがでます。

一例ですが香川県のさぬき市のサイトの内容を紹介します。

香川県のさぬき市では、避難行動要支援者名簿の登録について、その対象となる方についてサイトで公表されてました。
香川県・さぬき市/避難行動要支援者名簿の登録について

以下は明記文です。

災害が発生した場合や発生する恐れがある場合に自力で避難することが難しく、支援を必要とする方々の情報を掲載した名簿「避難行動要支援者名簿」を作成しています。この名簿は、災害時の避難支援や安否確認等に役立てるとともに、平常時の見守り活動などにつなげていきます。
 名簿を平常時から避難支援等関係者へ提供するにあたっては、ご本人の同意が必要となります。
 なお、避難行動要支援者名簿への登録によって、災害時の支援が保証されるものではなく、また、避難支援等関係者が法的な義務を負うものではありません。常に災害への備えを忘れず「自分の身は自分で守る」という意識を持つとともに、日頃から周囲の方々との良い関係を作るよう心がけてください。

生活の基盤が自宅にあり、災害発生時において自力で避難することが難しい次の方を対象としています。

①介護保険における要介護認定を受けており、要介護3~5の方
②身体障害者手帳の交付を受けており、障害の程度が1級または2級(総合等級)の第1種の方(ただし、心臓機能障害又はじん臓機能障害のみで該当する方を除く。)
③療育手帳の交付を受けており、障害の程度がⒶまたはA判定の方
④精神障害者保健福祉手帳の交付を受けており、障害の程度が1級の方
⑤生活支援を受けている難病患者
⑥①~⑤に準じる状態にあり、災害時の支援が必要と認められる方

※ 福祉施設等へ長期入所されている方や長期入院されていない方が対象となります。
※ 詳細につきましては、添付ファイルの「避難行動要支援者名簿作成のお知らせ」をご覧ください。



台風被害と保険・公的な補償

火災保険は自分で契約する民間の補償だが、台風等の自然災害の被害が大きいと、公的な補償も受けられるます。

損害割合が20%以上なら「被災者生活再建支援制度」から、「基礎支援金」と「加算支援金」が支給され、「災害救助制度」からは住宅の応急修理に対して、修理費用が支払われます。

被災者生活再建支援制度」とは、自然災害により生活基盤に大きな被害を受けた人に対し、都道府県が相互扶助を目的として拠出した基金から、「被災者生活再建支援金」を支給することで、被災者の生活の再建を支援するというもの。国からも2分の1が補助されている。

受給対象:
世帯は自然災害によ判断されます。

  1. 住宅が「全壊」した世帯
  2. 住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
  3. 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
  4. 宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯--となっている。

支援金の支給額は、「基礎支援金」と「加算支援金」の合計額となる。
「基礎支援金」とは、住宅の被害程度に応じて支給される支援金で、「加算支援金」とは、住宅の再建方法に応じて支給される支援金である。
なお、1人世帯の場合は、それぞれの4分の3の金額となる。

こちらは、zakzakのサイトで、台風被害と保健・公的補償について説明されている記事です。
参考サイト:
zakzak/by 夕刊フジ

おわりに

台風被害の千葉県での要支援者名簿が活用できない理由と、防災対策に行政と地域の取り組みに必要な事について
参考サイトとともに考察をしました。

起きる被災状況はその地域の地形や地盤や河川状況、人口密度などで変わり、高齢者が多い自治体では人手不足から支援が遅くなることが起きることでしょう。
行政まかせにもできませんし、地域の声を届けていくことや、医療機関との連携も必要です。
また、被災をしたら各種制度を活用するにも、行政窓口へ相談するしかありません。
その対応に追われる行政でもあります。

こちらは、内閣府のサイトで、被災者支援に関する各種精制度の概要を詳しく説明されています。
実際のところ、声を上げなければ制度の活用もできないのが現状ではないでしょうか?
内閣府/被災者支援に関する各種精制度の概要

一方で、「この度の災害対策の要である災害救助法が千葉県には適用されていません。」という小西ひろゆき参議院議員のツイートもあります・・。
内閣府責任者に「ある程度の被害見積もりでも県から申請されれば直ちに適用する」と言質を取り、千葉県最高幹部に至急の申請を伝達しました。
※災害救助法は、水、食料、避難所、医療など国が被災地に全面支援するための法律

通常の災害対応の主体は市区町村、後方支援と総合調整が都道府県となります。
しかし災害の規模が通常より大きく対応が困難な場合、県が自衛隊派遣や災害救助法の適用を国に要請することになっています。救助法が適用されると都道府県が災害対応の主体となります。

災害救援法 内閣府防災担当

ここでは、防災対策に関するご意見も募集しておりますので「お問い合わせ」より記入をお願いします。



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